思っていたよりも、あたしは周りの人たちの言葉に洗脳されてしまっていただけなのかもしれない。



こうやって関わってみて、初めて知る一面もあることがわかった。



さっき見せてくれたあのイタズラの笑みがもう一度見たくて、ついあたしは調子にのってしまった。



「有馬くん、また絵を描いたら見せてもらってもいい?」



「……なんで?」



なんで、ときた。

そこは素直にいいよと言ってもらいたいところだ。



「……見たいから?」



「やだ」



あたしが頼み事をすると、すみやかに否定してパタリと本を閉じる。


そうしてすぐに席から立ち上がった。



「見たいって言われると、余計に見せたくなくなる」