期待を胸に、あたしは美術室まで向かった。
結論だけ言おう。行かなきゃよかった。
あたしが美術室で目にしたのは、有馬くんが知らない女の子と親しくしている姿だった。
2人は仲良く寄り添うように、有馬くんの絵を見て話をしている。
「有馬先輩の絵は、本当にリアルですごいです!その技法、盗んでみたいです」
「俺はヒナタのウェットインウェットがすごいと思う。またコツ教えてよ」
「えー!先輩に教えられることなんてありませんよ?」
ヒナタと呼ばれた女の子は、馴れ馴れしく椅子に座ってる有馬くんの肩に後ろから手を置いてはしゃいでる。
有馬くんのことを先輩って言ってるから、1年生なんだということはわかった。
……でも。
その姿は、まさに仲のいいカップルみたいで、あたしの中にモヤモヤを残した。
有馬くんが女の子に人気があることは知ってる。でも有馬くんは、いつもそっけない態度であしらってばかりだったから、どこか安心していた。
だから余計に、今の目の前の光景に、不安が募る。


