心地よいこの空間の中、なんとなくお互いにククッと忍び笑いを漏らす。


5分間だけでも伸びた時間が大切で、1分1秒も取りこぼしたくないって思った。



「この夏は、あんたの行きたいところに行こ」



「え?」



「さっきあんたが俺と思い出残したいって言ってくれたの、嬉しかった。だから、夏休みだし、ふたりで思い出作ってこ」



「……う、うん!!」



延長させても無意味なほどに、この他愛ない時間は瞬く間に過ぎていった。



その間も、有馬くんは人混み嫌いそう、とか、あんたは毎日でも外に出てそう、とか、本当に他愛ない話をして、名残惜しくもその日はバイバイした。





この夏は、有馬くんとたくさんの思い出を作ることができた。