「でも、あんたがいい」



まるであたしの考えを見透かしたように、有馬くんがあたしの言葉を遮った。



「てか、あんたじゃなきゃダメなんだけど」




意思の強い声に、あたしは息を呑む。


その瞳には、しっかりとあたしが映っていた。




「見てよ。俺の絵」



「…………」



「あんたに見てもらいたいんだ」



彼は他の誰かではなく、〝あたしに〟見てほしいと言ってくれた。



ズルい。


またそうやって、あたしを期待させる……。



けれど心の奥で嬉しいと思っている自分がいるのも事実で、ちょっと複雑だった。