到着したギャラリーの前で自転車を止めると、有馬くんはスッとあたしから手を離し、先に降りた。


そして、目の前の立派な建物を見つめている。



あたしも続いて自転車を降りて、息を整えた。



この中に……棗先輩がいるはず。



「有馬くん。あたしが連れて行けるのは、ここまでだよ」


「…………」



何も言わない有馬くん。



「あとは、自分の気持ちに素直になって……ちゃんと先輩に、伝えてきて」



その横顔には、迷いがあるように見えた。



こちらを振り返る有馬くんのたゆたう瞳にドキリとする。



でも、ここまで来たら引き返せない。