今すぐ有馬くんを追いかけて、言わなきゃいけないと思った。 でも、棗先輩の言葉が邪魔をする。 〝慧に言うつもりはないから〟 それは、有馬くんを想ってこその言葉なんだろうけど……。 「どうしたの?美月」 「ううん、なんでもない……」 後片付けをしながら、あたしはなす術がなく、ただ呆然としていた。