「なるほどねー。石原が美月に掃除押し付けたんだ」
梓がへぇーっといった視線で、石原くんに視線を投げかける。
「はぁ? 押し付けたとか人聞きの悪いこと言うなよ」
「そうだよ。あたし暇だったから全然平気」
……それに、おかげで有馬くんと話す機会もあったし。
昨日の美術室での出来事を、思い返す。
「つーか、お前らまた有馬の話してたろ?」
石原くんの言葉に、ちょうど有馬くんのことを考えていたからドキッとした。
「あいつ、今度ある球技大会で出る競技のアンケート、まだ出してくれてないんだよな。
明日までに先生に持っていかねーとなのに」
「委員長も大変だねー。本人に直接言ったら?」
「まぁ、それしかねぇよな」
梓の言葉に、ため息まじりに石原くんはつぶやいた。