あたしは急いで彼らのもとへ歩み寄り、その手を引き離そうと手を伸ばした。
「勝手に触らないで!」
「うお、あぶね!」
「いって! 何すんだよ!」
勢い任せに2人のうちの1人を絵から引き離してしまったせいか、その1人が怒ってあたしをドンッと強く突き飛ばした。
「きゃっ!!」
そのままあたしは、キャンバスにぶつかるように後ろ向きに倒れ込んでしまう。
……いった……。
床で腕を勢いよく打った上に、擦れた痛みが襲ってくる。
だけどそんなの、気にしていられる余裕はなかった。
「あ、有馬くんの絵が……!」
「おい、やべーよ。ケガしてんぞ」
「知らねぇよ。この子が悪いんだろ!?」
ヒソヒソと本人の前で、よくもまあ保身的な発言しかできないなんて。
そんな考えばっかの人に、有馬くんの絵を汚されてたまるもんか。
絵を守るように、彼らを睨みつけた。