「きゅ、急に言われても、咄嗟には思い浮かばないよ」
「あんたの場合、サッカーボールとかバスケットボールがおにぎりやいなり寿司になるから、握られたご飯も好きなんじゃないの?」
「確かにご飯も好きだけど……!ボールは関係ないです!」
恥ずかしさのあまり、顔が熱くなってきた。
願わくばあたしの絵の下手さに関する記憶を、有馬くんの中から消し去ってほしい。
「はははっ」
そんなあたしの気持ちを知る由もない有馬くんは、面白そうにあたしに対して笑顔を向けてくれる。
そのことが、たまらなく嬉しかった。
だから、別に絵が下手でもいっか、なんて思ってしまうのは、おかしなことなのかな?
「うわっ」
やがて、1分もしないうちに、有馬くんは白チョーク1本で淡く立体的なケーキの絵を描き上げた。


