「ちょっと、勝手に見ないでくれる?」



「あ、ごめんなさい」



有馬くんはムスッとして、体でそのキャンバスを隠した。


そんなことしても、見えちゃうけど。



「もう帰りなよ。
あんた別にここに用があるワケじゃないだろ?」



「……まぁ、そうだけど……」



……ん?


そう言えばあたし、なんで美術室なんて通りがかったんだっけ?



「……あー!!」



「何?」



大きな声をあげてしまい、有馬くんはかも迷惑そうな表情をする。


うるさいのは苦手なのかも。



「あたし、掃除当番でゴミ捨てしてる途中だったんだ!ごめん、戻るね!!」



「あーそう。さよーなら」



「うん!また明日ね!……あっ!」



美術室を出ようとしたところで、ハッと気づく。



……確か、ポケットにいれてたはず。



あたしはブレザーのポケットから、絆創膏を取り出す。


良かった。残り1枚だけあった。