千歳の体温に直に触れ、 千歳の肌に手を滑らせながら 美海は涙をこぼした。 今はもう 千歳がいればいい。 信吾の事も もう考えたくはない。 千歳の肌から 流れる汗の一粒すら愛おしい。 千歳の口から漏れる息さえも愛おしい。 今まで美海の中で 抑えていた すべての欲望が溢れ出す。 愛情も 欲情も。 信吾へ閉ざされていた 美海の全てが 千歳へ注がれていく。 重なる肌が お互いの存在価値を示す。 千歳がいなければ、 美海がいなければ、 もう自分自身に価値がなくなる気さえする。