「美海!!」
おぼつかない足取りで歩く美海に
果南が飛びついた。
力いっぱい美海を抱きしめ、
震える美海の頭を撫でた。
「どうしたの?手!!」
「大丈夫。何でもないよ。そんなに慌てなくて平気だよ、浅見」
果南の腕から顔を出した美海は落ち着いた顔をしていた。
3人の顔を見て落ち着いたのか、
電話のときに震えていた声も戻っていた。
「送ってってほしいの」
「は?家帰るの?何かあったんだったら話聞くから今日は浅見の家にみんなで泊まろう!」
「浅見の家にまた信ちゃんが来るのが嫌だったらマナの家でもいいよ。たぶん夜中に泊まりに来たって誰も怒らないし」
マナが包帯の巻かれた手を優しく握り美海の目を見た。
美海は首を振り、
柔らかい口調で
千歳
と言った。
「今から会いにいく。だから送ってって。お願い」
美海のわがままに呆れたように
果南が溜め息をついた。
「千歳ってどこ住んでるんだっけ?」
美海が笑顔になると、
安心したように浅見とマナが胸を撫で下ろした。


