すぐに煙草を払いのけ、
火を消した。
赤く腫れ上がった手の甲を
見て信吾は慌てて美海を部屋から引っ張り出す。
「いた…い」
あまりの手の痛さに
美海は片方の手で腫れた部分を強く押さえつけた。
2階にある洗面所で
手の甲を水で冷やす。
「ちょっと待ってて!!」
信吾の家には2階にも台所がある。
冷蔵庫から急いで氷を取り出し、
信吾はまた洗面所へと走った。
「冷やして!」
小さな声で
ごめん、
ごめんね。
と言い続ける信吾の目には
涙が浮かんでいる。
こんなはずではなかった、
殴るつもりも
信吾にはなかったのだが、
美海を傷つけたことには
変わりはなかった。


