怒らないから、 そんな目ではない。 今にも殺されそうな気がする。 そんな目をしている。 「怒らないって」 「分からない!それも今は分からない」 「お前、もしかして別に男いる?」 すぐに目を逸らした美海を見て 信吾の手が上に挙がった。 腕が空を切る音がして、 美海は腰を引いた。 「い、いない!いないよ!」 信吾の腕が美海の頭の上で ピタリと止まった。 加えていた煙草が口から落ち、 タオルケットを握りしめていた手の上で痛い音をたてた。 「美海!!!」