その目は美海でさえも初めて見る目だった。
何もかもを拒絶したような
そんな目。
「し、信ちゃん!?」
「黙れって言ってんの」
思わず下唇を噛み締めた。
美海のために付けずにいたクーラーをつけ、
信吾は机の前にあるローラーつきの椅子に深く腰を掛けた。
震えた手でポケットから煙草を取りだし、
上手く取れない煙草をやっとの思いで取り出し
そのまま箱を床に投げつけた。
箱と床のぶつかり合う音に
驚き思わず美海はベッドの範囲内で
一番信吾から遠い位置に移動した。
「なあ、美海。俺の事は今好きなの?」
ベッドの上に敷いてあるタオルケットをきつく握りしめ、
美海は下を向いた。
「美海、怒らないから。言って?」
ベッドの軋む音が聞こえ、
顔を上げると
離れたはずの信吾が煙草を加えたままベッドに上がりこみ、
一歩、一歩と
美海に近寄ってきた。


