-小川ってまだ信吾と付き合ってる?-

たった一行。
返す気にもならないメールだった。


高校でベストカップルを取ったほど長い付き合い。

1年生の時から付き合っている2人は学校で一番有名なカップルだった。

今更別れられる訳がないだろ、
と携帯に話しかけベットに放り投げる。


下から夕飯のいい匂いがする。

昼から開けっ放しのカーテンを閉め、下に降りていく。


常においしい夕飯を家族と共にし、
一番風呂を取った事を喜んで長風呂にひたった。


普段バイトでシャワーしか浴びることの出来ない美海は久々の湯船を満喫した。


タオルで紙をかき回しながら部屋に上がるとまた携帯が光っている。

4人でお揃いのストラップと、信吾の名前の入ったストラップを揺らし携帯を開いた。


-レポートお疲れ。忙しかったらメール大丈夫だよ。-


いつになく優しい信吾のメールに目を丸くし、返信をした。


また消えないメールの表示。


「佐野?」


さっき開いたフォルダをまた開くと佐野からのメールだった。


-メル友作らない?恋愛とかしなくていいから。ただの友達。-


左手の薬指にはめられた指輪を見て、美海は溜め息を付いた。

もうこの指輪も5代目。
ねだりにねだってクリスマスに買ってもらったブランド物の指輪。

当たり前のように毎日自分の左手で輝き続けている。