答えが出ないまま部屋には生ぬるい湿気の混じった空気と、
沈黙が流れている。
「え?美海?すぐ答えられるでしょ?」
「分からない。今のあたしには信ちゃんといる意味が分からない」
「は?何言ってんの?」
信吾の目つきが変わった。
美海はこの目が大嫌い。
すぐに目を逸らすと、
信吾に顎をひかれ目が合う。
「何が言いたいの?ちゃんと言えよ」
深く息を吸い込み、
美海は激しくなる心臓を落ち着かせようとした。
「信ちゃんはあたしの事を存在自体に価値がある、って言ってくれたよね?あたしは今そこまで気持ちが追いついてない」
「美海にとって俺の存在は価値がないって事を言いたいのかな?」
美海は顎を掴まれたまま小刻みに首を縦に振った。
顎を掴む手にどんどん力が入っていく。
顔全体が痛みに絶えられずに
熱くなっていく。
「痛い!信ちゃん、痛いって!」
顔が振れるくらい勢いをつけて
信吾は手を離した。
「もう、痛いよ」
「美海、ちょっと黙っててくんない?」


