浅見に座っていい?
とジェスチャーで聞くと
浅見は2回縦に首を振った。
胡座をかき、すぐさま煙草に火を点けた。
「ねえ、俺怒らないからさ。言って、」
「今日!体調悪くてバイト休んだんだけど、3人が今から飲むって言うから元々あたしも約束してたし来ちゃったんだ。体調悪いのに遊びに行くって言ったら信ちゃん絶対怒るでしょ?だから言えなくて」
「美海バイトだと思って電話して終わったらあたしも行く事にしたから早めにおいで、って言おうと思ったらバイト行ってないっていうから無理矢理呼んだんだ」
美海の言葉を聞いてすかさず果南が言葉を加え付けた。
「本当に?」
「うん」
「ならいいんだけど。てっきり浮気でもしてるのかと思った」
マナと浅見は顔を引きつらせたが、
美海と果南は冷静に言葉を聞き流した。
「帰ろう」
「え?」
「美海がさっき言った通りで体調悪いのに遊んでるなんて俺が許すわけないだろう。車で来てるから帰ろう。」
素直に頷くしかなかった。
鞄を持とうとするとすかさず信吾の手が伸びてくる。
「持つから。大丈夫?吐き気はない?」
「う、うん。大丈夫。じゃ、じゃあごめんね。今日は帰るよ」
果南が小さく頷くと
マナが手を振った。
浅見が扉で美海の背中を叩いた。
「さあ、帰ろう」
信吾に手を引かれ、
扉が閉まる寸前まで美海は3人を見続けた。
その目は今にも涙がこぼれ落ちそうだった。


