「あれが千歳かー」
ベランダから顔を少しだけ出し、黒い頭が3つ飛び出ている。
それを知らずに車の前で千歳と美海は手を握り合い、別れを惜しんでいる。
「んー、マナ的には信ちゃんの方が格好良いかな?」
「あたし千歳派!」
「信吾も千歳もどっこいどっこいだろ」
品定めの様に3人は千歳を見た。
千歳のデートの後、元々口裏合わせで遊ぶ予定だったマナと浅見に加え、
果南も含めたいつものメンバーから
強制召集のかかった美海は浅見の家に送ってもらっていた。
「チューするかな?」
「しないでしょ。一応信ちゃんいるわけだし」
「するだろ。だって美海だよ?」
果南の最後の言葉に納得したようにマナと浅見は頷いた。
「ほら、ね?」
千歳の大きな手の平が美海の頬をゆっくりとすべっていく。耳に優しく手を掛け、そのまま唇が合わさる。
「恥ずかし!」
「あいつはバカか。見てるとか予想しないのかな」
「知ってての見せつけだったりして!」
「うわ、やりそー」
千歳が車に乗り込み、
エンジン音が聞こえて間もないうちに車が走り出した。
ライトが見えなくなるまで、美海は車を見続けた。


