信吾からの着信に
音楽の音量をあげた。
「もしもし。うん、あー家にいる。音楽聞いてた。え?バイト?あー休んだ。風邪ひいたっぽいし。うん。大丈夫。平気、平気だよ。寝たいから電話切るね」
ため息をつきながら、電源ボタンを押した。
「今日バイトってことになってて、バイト先に顔出したらいなかったから電話してきたらしい」
すぐにメールを打ち、謝りのメールを入れた。
信吾の異常までの
美海への執着心。
それは
美海も感じ始めている。
浮気をしていたにも関わらず、
美海を手放すことはしなかった。
美海に対する激しいまでの愛情。
それは美海も分かっている。
信吾以上に自分を愛してくれる人はいないだろう、
でもその愛情が美海の疲れを生んだ。
「信吾くんはすごい美海が好きなんだね」
「そうみたい」
「綾と一緒だ」
この新しい恋愛は、
美海と千歳の
逃げだ。
逃げにしかならない恋愛でも、
お互いを求めてる。
それは一緒にいる時間と、交わしてきた電波で感じられる。
今はお互いが必要なんだ。


