「美海大丈夫?」
昨晩の信吾の笑顔が頭から離れずにいた。
隣で心配そうに千歳が眉を潜めていた。
「ごめん、ごめん。大丈夫」
今日はドライブ。
なるべく遠くに行く約束をした。
場所は決めていないが、
ゆっくり車を走らせていた。
ほのかに香る甘い匂い。
彼女の香水だろうか。
普段から乗る
信吾の車も
果南の車も
煙草臭い。
でもこの車は甘い匂いが漂っている。
セダンを乗り回す信吾とは違い、
少し小さめの乗用車。
乗り心地が悪いのは
きっとこの助手席が
美海の居場所ではないからだ。
「美海の彼氏はどんな人?」
あえて触れてこなかった話。
でも今日はお互い話すと決めていた。
電波上で話すような話ではない。
だからこそ今日話さなくてはいけない話だった。
「彼氏とは3年付き合ってる。9月で4年になるかな」
「うん」
長いね、と誰もが驚く所を驚かない信吾に美海は目を丸くした。
「強情で、自分の意志が強い人。ちょっとわがままで、自分の思い通りにならないとダメな人」
「うん」
「高校のときはベストカップルとか選ばれた。並んで出歩くとお似合いって言われてた」


