「また会いたい」


素直すぎる千歳の言葉は美海の心を緩ませる。


深く頷いた。
何度も。


デートで行った場所は
喫茶店だけ。

あとは街をひたすら歩いて、
たまにベンチに座っては30分以上そのベンチで話して。


そんなデート。


話した内容は
今までの恋愛や、
高校生活の話。


バイトの事や、友達の事。


美海の話を目を見ながら聞いてくれる。

優しく笑いかける千歳の笑顔が目から離れない。

美海、って呼ぶ優しい声も
ころころ変わる表情も
頭の中に残っている。


「あたしも、また会いたい」


唇から漏れる言葉は
自分の感情があふれ出た言葉。


誰もこの言葉を止めない。

誰もこの感情を止めない。



誰も止めないで欲しいと言うのが
美海の願いだろう。



「千歳、あたし彼氏いるの。それでもあなたに会いたい。それは駄目ですか?」



美海の横に隠れていた影を最後の別れ際で証した。



その言葉に笑顔で首を振る千歳を見て
胸を撫で下ろした。