電話中の千歳の姿は
まるで浮気中の信吾を見ているようだった。
美海とのデート中に
浮気相手と電話をする信吾は
横目で確かめながら電話をしていた。
頭を下げてみたり、
手を大袈裟に振って何かを説明してみたり。
「信吾を見てるみたい。あれは彼女いるな」
思わず言葉が漏れた。
そんな美海の携帯にも
もちろん信吾からのメールが入っていた。
電話も一件。
千歳の電話姿を見つめながら
メールを打った。
「美海ー。ごめん!ちょっと友達が、」
「千歳、彼女いるでしょ?」
「え!な、な、何で?」
不適な笑みを浮かべ、美海は席を立った。
鞄からポーチを取り出し、千歳に背を向ける。
「え?美海?」
「化粧室、行ってくるね」
化粧室に入るなり周りを見渡した。
「何も書いてないし、火災報知器っぽいのもないね」
緑色の箱を取り出し、
大好きな煙草を口にした。
火を点けて口に煙りを含む。
手に持っていた携帯を開きメールを打ち始める。
同時送信されたメールは
果南、マナ、浅見の元へ届いた。


