「美海!」

講義が終わると4人は必ず大きなくぬぎの木の下にある喫煙所に寄る。


ピンク色のシガレットケースから煙草を取出し、美海が煙草を吸い始めた時だった。


「信ちゃん」


喫煙所に向かって歩いて来るのは美海の彼氏、信吾と浅見の想い人、亮介。


「相変わらず4人でいると目立ちますね」

「果南がいるからね」

「いや、果南がいるとか関係なくお前ら派手なんだよ」


信吾の言葉に美海は蹴りを入れる。


「そんな派手じゃないし!もう授業終わったの?」


腕を組みながら、口元を隠し、細い煙を吐く。


一口、と口パクで美海に伝え信吾が煙草をくわえる。

そっと肩に手を回し、美海のぬくもりを感じようとする信吾を思い切り払いのける。


「暑苦しい!ただでさえ暑いのに」

「美海たん冷たい!」


手で顔を押さえ、しゃがみ込む信吾を見て、浅見が指を差して笑っていた。