部屋には美海の大好きなカシスとマリブのリキュール。

果南の好きな日本酒。

浅見とマナの缶ビールが10本並べられた。



「こんな飲んだら明日行けなくなる」

「まあいいから、いいから」


気のきく浅見がグラスに氷1個分マリブのリキュールを入れ、コーラで割って美海に差し出した。


美海は半分まで飲み、机の上に音をたてながら思い切りグラスを置いた。

割れるかと思うくらいグラスは音をたてた。



「ねえ。気になってた事があるんだけど」


真剣な目を向ける美海に、3人はお酒を飲み込んだ。


「これって浮気?」



美海はずっと自分の中で悩んでいた。


浮気なのか、
浮気ではないのか。


千歳への気持ちが大きくなりすぎて、
もう自分でも分からなくなっていた。



「それはマナ達にも分からないよ」

「信吾が浮気だな、って思ったら浮気なんじゃない?」

「果南の言う通りだね」


眉間にシワを寄せる美海を見て果南は目尻を下げた。


「美海が幸せならあたし達はなんでもいいよ」


残していた半分を美海は一気に飲み干した。


「ありがとう」