「これからはちゃんとします」
美海が深く頭を下げると、信吾の大きな手がゆっくり頭の上に置かれた。
頼むよ、という意味で信吾は頭を撫でるつもりだったが、手を置いた瞬間、美海の体が一気に車の端ギリギリまで引かれたので、信吾は顔をひきつらせた。
「殴られると思った?」
一生懸命首を横に振ったが、信吾は美海を睨み付ける。
「俺に過剰反応しすぎじゃない?」
当たり前でしょ、と心の中だけで呟き、美海は首を振る。
また深い溜め息をつき、信吾はシートを倒した。
「俺、怖い?」
首を振ると、髪の毛と服が擦れる音が耳につく。
音だけで美海が首を振ったことを確認して、信吾は目を閉じた。
「このままじゃ、俺たち昔みたいには戻れないのかな?」
寂しそうに声を細める信吾の手を美海がしっかり握り締めた。
「昔に戻ったら意味ないじゃん!昔が良かったなんてあたし思ってない!」
「どういうこと?」


