大きく息を吸い、信吾の顔を見つめた。 かざされた拳が宙で震えている。 拳に目を向けないように、美海は信吾の目を見つめ続けた。 こんな風に見つめ合うのは2人にとって久しぶりかもしれない。 「えっと、ごめん」 「殴りたかった?」 唐突に質問を投げ掛けた美海に信吾は唇を噛み締めた。 赤く滲んだ唇をもう一度、ごめんと口を動かした。 視線が交わったまま2人は黙った。 ゆっくり拳を下ろしながら、信吾は目線を反らす。 信吾は耳に付くような深い息を吐き、ハンドルを強く握った。