下を向いたまま黙る美海の方を向き、信吾はゆっくり口を開いた。
「なんでみんなと連絡取れるの?」
そう言いながら美海に手を差し出す。
その手のひらに携帯を置き、美海は下から信吾を見上げた。
すぐに携帯を開き、電話帳をチェックしていく。
「6人増えてるね」
「でも全部女の子だよ?」
「登録増えてないかちゃんとチェックするって言ったよね?電話でもメールでも言えばいい話じゃん!誰と連絡取ってもいい?とかさ」
美海はまた口を閉じ、下を向いてしまった。
嫌味と感じ取れるくらいの溜め息が車内に響く。
「俺の名義で買って、俺が金を払ってんの」
「じゃあ自分で払うよ」
「そういう問題じゃないだろ!」
振りかざされた手に、美海は硬く目を閉じた。
殴られる、そう察知しとっさに身を引いた。
まぶたを震わせながら目を開けると、顔の目の前で手は止まっていた。
少し安心して目を大きく開き、すぐに肩を震わせた。
信吾の手が握られている。
平手打ちは軽井沢にいる間、何度もされてきた。
今信吾の手が止まっていなかったら、拳で殴られていたかもしれない。


