「もしもし?」
ありきたりな問い掛けをすると、小さな声で返事が聞こえた。
「何かおかしくない?」
わからない、と一言伝えられ、大袈裟に溜め息を付く。
スケジュール帳何回も見直したんだけど、と途中で言葉をやめ、声のトーンがどんどん落ちていった。
「スケジュール帳じゃないよ。なんでそんなに予定が埋まるの?」
荒くなる声を整え、信吾は口調をゆっくり戻した。
「美海の携帯には家族と俺、果南と浅見とマナしか入ってないはずでしょ?なんで他の子たちと遊べるの?」
電話の向こうで、やっと気が付いたかのように慌ただしく美海が動きだした。
ごめんなさい、と謝ることしかしない美海にしびれを切らせ、信吾は今から行くとだけ告げ、また強制的に電話を切った。
机の上に置いてある車の鍵を掴み、静かに部屋の扉を閉めた。


