雲のかかった満月を見つめながら、電話を耳にあてる。
月の光が薄れ、明るい夜空が一瞬で薄暗くなった。
「ごめん。予定入れすぎた」
電話口で1日1日予定を説明しろ、と言われ鞄の中からスケジュール帳を取りだした。
色とりどりのペンで書かれた予定を見ながら、1日ずつ説明をしていく。
電話の向こうで黙ってるだけで、何も答えない信吾はきっと疑っているのだろう。
説明が終わり、おかしくないか?と低い声が耳の奥に響き、美海は少し肩を震わせた。
信吾のドスの利いた低い声は嫌いだ。
怒っている事がすぐに伝わってくる。
「な、何かおかしかった?」
声を上擦らせながら、また夜空を見上げた。
何も答えてくれず、沈黙が続き通話料の無駄な時間が流れた。
最初に沈黙を破ったのは信吾で、わからない?と逆に質問を仕返された。
ただ首を傾げるだけで、美海は何も答えず、さらに信吾を苛立たせた。
また沈黙が続き、信吾の声が聞こえる前に一定の機械音が流れる。
「切れた…」
携帯画面を眺め、通話時間21分17秒という文字を目に焼き付ける。
実際会話をした時間わ2分もないだろう。
一方的に予定の説明をし、
あとはただの沈黙。
かけ直そうとしたが、頭の中で何がおかしいのかゆっくり整理をする。
スケジュール帳を何度も見返し、
何度もページをめくった。


