はい、どーぞ。と置かれたビール缶のプルタブを起こし、
喉を潤していく。
毎日追い掛けられていた。
信ちゃん!信ちゃん!
と声を掛ける美海を横目で流すくらい余裕があった。
少し女の子を話せば嫉妬し、
ふてくされる美海を見ては満足感を得ていた。
嫉妬で涙を流す美海を慰めながら優越感に浸ってた。
でもいつからか、その立場が逆転した。
男と話す美海に嫉妬し、
美海の携帯が鳴るたびに苛立った。
いつも自分の横にいて
誰もがお似合いだね、っと言ってくれていた。
それが当たり前だと思っていた。
「その当たり前は信吾の中だけだったって事だね。美海ちゃんの中で当たり前が壊れたんだよ、それを壊したのは実際信吾じゃないの?」
ゆっくり首を横に倒し、
目を細めた。
「俺の浮気?」
頷く亮介の姿を見て、
信吾は吹き出した。
「あんなの本気じゃない!試験台みたいなものだよ」
「それは信吾自身の捉え方でしょ?美海ちゃんから見れば立派な浮気じゃん」
「でもあいつは本気で恋をした!本気で新しい恋をしたんだ!」
信吾の言い訳に呆れるように、亮介は溜め息を付いた。
「お前が変わらなきゃ美海ちゃんも変わってくれないよ?」
上目線で物を言う亮介に腹が立ち、
飲みきったビール缶を壁に投げつけた。
「黙れよ、何もしらないくせに」


