背が高い、目が細くて切れ長。
強くて、優しくて、誰よりの自分を想ってくれる。
煙草を吸っていて、自分の車を持っている。
お金持ちで、将来有望。
わがままを許してくれて、明るい人。
付き合う前に
美海のタイプは?と尋ねたとき並べられた言葉だ。
「理想高いねー。あの子」
「俺も最初思った。軽く聞いただけなのに、随分言葉を並べてくるんだ。しかも悩むこともせずに。悩みもしなかったから、ずっと美海の思い描いてきた理想なんだと思った」
「でも、信吾にぴったりじゃん」
白い煙が空へ伸びていく。
ゆっくりと煙を見つめながら、信吾はまた口の端を上げた。
「だろ?俺は18歳になってすぐ免許取って、親に車買ってもらってさ、継ぐつもりなんてなかったけど親の会社を継ぐつもりで経営学部に入った。どれも美海の為にやってきた事なんだ。でも合うって」
「合うってなんだろう。何が合ったんだろう」
信吾は首を横に倒した。
それがわかったら苦労しない、
と言いながら亮介のアパートの階段を先に上っていった。
信吾が前に訪れたときよりも
綺麗に片付けられた部屋を見て目を丸くした。
浅見が?と後ろを振り向くと、
照れくさそうに亮介は笑った。
「あいつも女らしい事するじゃん」
綺麗になった部屋を見回して、
ベッドの上に腰を掛けた。
浅見の服を急いで片付ける姿を見て信吾はからかった。
「大事にしろよ。浅見とは俺も長い付き合いなんだから」
「わかってるよ。唯子ちゃん以外なんて考えられない」
「普通そうだよな、美海は何が違ったんだろう」
天井を見上げ、そのままベッドに寝ころんだ。
思い返しても、
思い返しても、
自分に足りない部分は見つからない。
信吾はそれだけの自信を持っていた。


