「美海と話がしたい」
「何を今更話すの?」
水を飲みながら決して千歳から視線は離さなかった。
「それは、」
「今更話すことなんてないでしょ?美海は俺を選んだんだから」
「あれは!俺の為にしたことだ」
「だったら余計に話す事はないでしょ?もし今美海の前に現れたら俺はまたキレる。それを見てまた傷つくのは美海だ」
わかりきったように話す信吾に苛立った。
千歳は信吾の胸ぐらを掴み、
信吾を見上げる。
「それをわかってて、それでもお前は美海を縛り付けてるのかよ!」
信吾の手の中で空になったペットボトルが音をたてて潰れた。
「それが美海の選んだ幸せだ、自分の愛する人を守ることを選んだ幸せだよ」
胸ぐらを離し、拳を作り信吾の顔に当てようとしたが、
簡単に信吾の手の中に収められてしまう。
「俺にケンカで勝つのは無理。ケンカ慣れしてるから」
「そんな慣れ自慢になるか!そんな事に慣れてる奴に美海は渡せない!」
信吾は思い切り深い溜め息を付いた。
「いい加減にわかれよ、美海が俺を選んだんだ」
「違う!お前がそうさせたんじゃないか!」
声を荒げるのは千歳ばかりで、信吾はずっと落ち着いた口調で話していた。
それが見下されている気分で、千歳を更に苛立たせる。
「美海と話しをさせてくれ」
「もう少し落ち着いたらね、千歳が」
足を踏み出し、
信吾はその場を去ろうとする。
後を追うように亮介が足を踏み出した。
「お前なんかに美海は絶対渡さない!」
叫ぶ千歳に振り返りもせず、
信吾はコンビニを立ち去った。


