「美海は?」
「友達と飲んでるよ」
目を真っ直ぐ見ながら単調に答える
信吾が逆に怖い。
亮介はいつ何が起きてもいいように、
と信吾と千歳の間に立った。
「元気?」
「ああ、すごく」
元気に笑う美海の顔が千歳の頭の中に浮かぶ。
「千歳も元気そうだね、もう歩けるんだ」
「肋が2本、指が1本折れただけだ」
中指に巻かれた包帯を見て、
信吾は小さく息を吐きながら笑った。
「何だ、それだけだった?」
冷たく放つ信吾の声に亮介は身を震わせた。
信吾は本気でこの言葉を言っている。
本気でもっと痛みつけてやれば良かった、と思っているから尚更震えた。
「運転も出来る程度の傷か。大した事ないね」
「ああ、あの時美海が止めてくれたからね」
「うちの美海ちゃん優しいから」
「止めてくれなくても良かったけど」
信吾の足が一歩踏み出たのに反応し、
亮介は信吾の肩に強く拳を当てた。
「肋折れたのに歩けるなんて悔しいな」
「呼吸は今でもしづらいよ。歩くのも結構きつい」
それでも今日は無理に走ってしまった。
今落ち着いて話すのがやっとだった。


