「何がそんなに気にくわない?ただ俺に新しい好きな人が出来た!それだけだろ?」
笑みを浮かべていた綾の目が睨みに変わる。
「それが気にくわない」
初めて見る綾の冷たい目。
憎しみに溢れた目。
その目に千歳はその場に凍り付いた。
「ちぃはずっと綾のもの、約束したよね?結婚しようって」
「そんなの高校生の戯言だ!」
思わず大声を上げ、
扉が勢いよく開いた。
「何の話をしているの?今は安静にしなくちゃいけないのに、綾を興奮させないで!」
綾は不適な笑みを浮かべ、自分に刺さる針を眺めた。
「なんでもないの。ただ心配しすぎてるだけ、だってちぃはすごく綾が大切なんだもん」
ね?とでも言うように綾は千歳に目線を移した。
母親を目の前にして何も言えない。
ただその場に立ちつくし、
口を閉ざした。
軽く会釈をして、
病室を後にする。
車の鍵を強く握る。
手が熱くなり、
握った鍵の跡が手に残る。


