「なんであいつあんなに静かだったの?」
果南が口火を切り、マナは首を傾げた。
「最近ずっとあんな感じで。傷ついてるんだと思う」
重く口を開いた美海の頭に果南がそっと手を乗せる。
マナが急に手を叩き、声を上げた。
「そうだ!あの話、ちゃんとしようよ…」
だんだん声が細くなり、浅見と果南に視線を向けた。
美海は首を傾げながら3人を見回し、
誰かが口を開くのを待った。
最初に果南が口を開くものだと思っていたが、
なかなか話し出さない事にしびれを切らし、浅見が話しを始める。
「美海、辛かった?」
少し視線を落とし、片方だけ口の端を上げた。
「3人で話したんだ。何であの時信ちゃんを選んだんだろう…って。でももしあたしが同じ立場だったら信ちゃんを選んでた。それはマナも果南も一緒の意見だった」
「やっぱり今でも千歳くんが一番好き?」
マナの質問に美海は、顔を手で覆った。
「別にうちらには正直になってもいいよ」
果南がゆっくりと肩に手を置いてくれた。
その手の温かさに安心し、美海は口を開いた。
「大好き。千歳を毎日思い出す。夢に出てくるのも、考え事するときも全部千歳」
顔から手を離し、
誰もが泣いていると思ったが美海は涙を流していなかった。
ただ真っ直ぐ、千歳だけを見ているような目で前を向いた。


