病棟を走り去る千歳の必死な顔を一瞬だけ目にした。
首を傾げて病室へ近付いたが、
中の会話はあまり聞こえなかった。
そのまま病院を去り、
エンジンを掛ける。
煙草に火を点け、煙を吸い込む。
冷房が車内に浸透し、
やっと車を走らせた。
少し車を走らせすぐにコンビニで車を止めた。
ハンドルに顎を置き、辺りを見回す。
顔を上げ、バックミラーに目を移す。
ミラーに映るのは必死に走って来る姿。
「久しぶり!」
「そうでもないでしょ」
「えーだってマナと果南が会うの1週間ぶりだよ?」
小さな息を吐き、果南は優しく笑った。
「毎日会ってたから1週間でも久しぶりになっちゃうのか、じゃあ美海はもっと久しぶりだね」
「そうだね。早く会いたいな」
窓の外の灯りを見つめながら、マナは目尻を下げた。
「そういえば千歳に会った」
声を裏返し、驚くマナをよそに車を走らせる。


