そのまま眠ってしまったのだろう。
手の中で震える携帯で目を覚ました。
知らない番号が表示され、
急いで電話に出る。
「もしもし?」
携帯の奥から聞こえるのは
あの甘い声ではなかった。
「あ、どうも。お久しぶりです。はい、はい、え?は?今行きます!」
急にかしこまる口調になり、
すぐに電話を切った。
急いで家を飛び出し、車の鍵を手にする。
扉が閉まると同時に舌打ちをした。
ハンドルを握る手がどうしても震えてしまう。
拳を作り、ハンドルに思い切り叩き付けた。
「くそっ!」
信号待ちに足を小刻みに揺らし、
青に変わると同時にアクセルを思い切り踏んだ。
駐車場には止めず、路上に車を置き去りにし、
そのまま建物の中へと走っていく。
自動ドアが開き、
カウンターで思い切り手を付いた。
「今救急で運ばれて来た女の子は?」
「2階の一番奥の病室にいます」
受付のすぐ隣りにあった階段を駆け上がり、
一番奥の部屋を目指した。
「綾!!」


