何かを買う訳でもなく、
ただひたすら2人で歩きまわり
久々の外出で疲れてしまった美海を心配し、早めに帰宅をした。
「顔色よくないね」
「久々に歩いたからだと思う」
本当は違う。
当たり前だが
まだ美海を許していない信吾が怖かった。
疲れじゃない、
精神的にやられている証拠だ。
携帯が折られた、
美海を包む手が冷たかった、
それだけで長年連れ添った美海にはわかる。
信吾はまったくと言っていいほど
美海を許してなんかいなかった。
車で流れる曲を口ずさみ
帰り道を軽快に走る。
ひたすら黙ったままの美海に
話しかけた一声は恐ろしい質問だった。
「千歳のどこを好きになったの?」
この坂を上っていけば
別荘に着く。
でも坂の手前で急に車を止める。
まったく美海なって見ていない。
何もない殺風景な景色を眺めながら
声を高くして質問した。


