「少しでいいから食べてよ」


トレーの上にはオレンジジュースと
サンドイッチ。


朝にぴったりのメニューだった。



信吾は運んできたトレーをテーブルに置き、
ベランダに座る美海の手を引いた。



「食べな」

「うん」




ここは軽井沢。

信吾の家の別荘だ。


朝と夜だけ来るお手伝いさんが1人。


あとは信吾と美海の2人だけ。



軽い軟禁だろう。



夏休みにはいってすぐ
信吾に連れて来られた。



涼しくてすごしやすい。


電波は入らない。


電話もない。



そんな環境を信吾は選んだ。



これは美海に対する罰だ。