「美海!!」

「もうやめよう。これ以上、もういいよ」


ゆっくりと信吾から離れ美海は立ち上がった。


「千歳」

「み、美海。俺は大丈夫だから、」


美海はゆっくり千歳に触れ
涙を流した。


耳もとに顔を寄せ、囁くように口を開いた。






「もし世界が壊れても、もしこのまま地球がなくなったとしても、あたしはあなたを一生愛してます。千歳を忘れる事は絶対にないから。一生心の中であなたを愛し続けます。こんな守り方しか出来なくてごめんなさい」




亮介が信吾の前に立ったのを確認して美海はゆっくり千歳の唇に自分の唇を重ねた。




「美海!」




必死に起き上がる千歳を背に美海は信吾の手を握った。



「帰ろう」



果南も浅見も目をつぶり、美海と信吾が立ち去るのを見送った。



亮介はすぐに千歳に駆け寄り、肩を貸す。



「美海!美海!!」



美海は振り返らなかった。
そのまま歩き出し、
一度も振り返らずに公園を後にした。