果南が美海から離れ、立ち上がると信吾の目に泣き崩れ震える美海の姿があった。
「あ、美海…」
「何してんのよ！ねえ！信吾！あんた何考えてんのよ！」
「果南、黙って」
信吾は亮介から離れ果南を通り過ぎた。
「駄目！美海に触らないで！」
浅見が美海を後ろから必死に抱えている。
信吾の手がゆっくり美海の頬に伸びる。
「信ちゃん、もうや、もうやめて」
震えた口が必死に言葉を発している。
「美海…」
「信ちゃん、帰ろう。もうあたしどこにもいかないよ。ね？」
「美海！駄目だよ！」
「浅見ごめんね。離して」
美海はゆっくり信吾を抱きしめた。
「帰ろう。もう誰も傷つけないで。お願い」
