「さっきそこで人のいない公園見付けたんだ。そこ行かない?」
口を動かし、千歳が地面につばを吐くとそのつばが赤く染まっていた。
「そうしよう。ここじゃ目立ちすぎる」
2人が勝手に歩きだし、美海は急いで携帯を取り出した。
千歳の家の近くの公園、
とだけうちすぐに浅見にメールを送った。
誰もいない公園に着くなり信吾はまた千歳に殴りかかった。
また鈍い音が響き、
千歳はそのまま倒れ込んだ。
真っ白なTシャツが砂で茶色く汚れた。
「信ちゃん!!」
振りかざした腕にしがみつき、
美海は信吾を見つめた。
「大丈夫だよ。美海には何もしない」
「あたしは大丈夫!千歳に何もしないで!」
「何でこいつを守るの?人の女に手を出した奴だよ!?」
美海を振りほどき、
倒れ込む千歳の腹に思い切り蹴りが飛んだ。
「ぐっ!!」
「昨日もそうやって佐野の事殴ったの?」
「あれ?佐野に会ったの?おかしいな、動けないくらいまでにしたはずなんだけど」
そのまま右足を振り、
頭を蹴り飛ばした。
「やめてよ!千歳が死んじゃう」
「死んでも大丈夫だよ。美海には俺がいるでしょ?」
微笑む信吾の目を見て
美海は腰を抜かした。
今までで見た中で一番ひどい目をしている。
黒い瞳が異常なほど黒く見える。
人の目ではない。
冷たいくすんだ目。
そこには美海すら映っていない。


