千歳の家の前に着き、美海は安心して胸を撫で下ろした。 「じゃあデートは今日はお預けで」 「そうだね」 2人は手を握り合ったまま別れを惜しんだ。 「デートって何処行くはずだったの?」 低い、低い冷たい声。 聞き慣れた 長い間聞き慣れていた声。 「ね?何処行くはずだったの?俺にも教えて?」 背中が凍り付く。 2人の背中刺すような声が耳を通る。 振り返られない。 足がどうにも動かない。 「美海?」 こうやって何度も呼ばれてきた。 呼ばれたら笑顔で振り返ってきた。 でも今はそれが出来ない。