「で?

海城に好きな人が出来たからお前は諦めるのか?

ずっと好きだった相手を諦めるのか?

そんな簡単なことで諦められるほどお前の気持ちは安いものだったのか?」



私が小さい頃から募らせてきた想いは

そんなに安いものじゃない

そんな事、雪那君だって聞かなくてもわかっているはずだ。


そんなに安くはない。

そんなに軽いものじゃない。


とても温かいものだった。

大切なものだった。




「ッ…違う!

諦められるわけないじゃん!

本当はもっともっと好きでいたい!

出来るなら好きになってもらいたい!

両想いになりたい!」



雪那君はじっとこちらを見つめる

私の次の言葉を待っているように




「でもさ……

叶わない恋するのは……

好きな人が恋をしているのをただ見るだけの叶わない恋をするのは……



結ばれることを願い続けるより辛いんだよ」




辛いの

見てるだけだから

結ばれることだけを願うなら
自分のことだけ考えてればよかった

相手が振り向いてくれることを考えればよかったから

でも

相手に好きな人がいる時は

こっちを振り向いてくれない事なんてわかってる

でも
ずっと見ていなきゃいけないの

目が追っちゃうの

だって



好きなんだもん