そんな時すずかが思い出したように自分の鞄の中からあるものを取り出す






「そうそう!!陽菜の筆箱、さっき預かっておいたのよ」






そういって取り出したのは私のピンク色の筆箱






間違いなく碧維君に私が貸したものだ






私は目を見開き、筆箱を奪い窓の外を見た






「いつですか??今から言ったら間に合うかしら??」






教室を飛び出そうとする私の腕を掴むすずか
すずかは笑顔で首を横に振った






「行ってもいないわ。これ、朝受け取ったものだから。」






そんな言葉に頭の中が真っ白になった





「何ですずかが??」







私は静かに呟いた
すずかは私の顔を覗き込み、頭を撫でた






「校門前でうろうろしていたから声をかけたの。筆箱一個ごときで陽菜に会おうとするなんてどういうつもりかしらね?何が目当てなのかしら。そりゃあ陽菜は何もかも持っていて好きになってしまうのはわかるけど外の人の身分でどうにかできるとでも思ったのかしらね??一回お食事会をしたからと言って格差が縮まるわけでもないのに。」







そんなすずかの言葉に体の奥の方から何か熱いものが湧き上がってきた
私は落ち着こうと必死に深く呼吸をする








「何で勝手なことをするんですか。たかが筆箱一個でも、私は、、、私は。楽しみに待っていたんです。直接ありがとうって言いたかったんです。」





すずかは眉間にしわを寄せながら私を見る





「そんな怖い顔しないで陽菜??でもあの男物分りはいいみたいで、別に勘違いはしてなかったみたい!!もともと西園寺さんとお付き合いしたいなんて俺は思ってもいないからそこはご安心を。なんて平気な顔で言っていましたわ。意地を張っていたのかしらね??

でもまあ、悪い虫を追い払えてよかったわ。」






そう私の頭をまた撫でようをするすずかの手を私は払いのけた








目を見開いて私を見るすずか







「嫌いです。すずかなんて大嫌いです。」






溢れだす涙
震える手







私は教室を飛び出し走った