しばらく人の流れと合わせて歩いているとあっという間に駅に着いた





ところで私の家は最寄駅はどこなんだろう…
そんなことも知らない




車でそんなに遠くないから一駅か二駅くらい先かしら…





それよりどうやって駅の中に入るのかさえわからないし、
その前に現金を持っていないんだった…






私は駅に背を向けて歩き出した





車ですぐなんだからきっと歩いてでも行ける距離よね??
車の窓からなんとなく眺めてたから道は薄々覚えているはず





私は人ごみをよけながら歩いた





「きゃっ!!」






誰かの方にぶつかり、転んでしまった
鞄の中のものが散らばり拾っていても




周りの人は迷惑そうな顔をして私を見下ろし、通り過ぎてゆく





いつもならすぐに誰か助けてくれるし、拾うのも誰かがやってくれる
そしてみんな心配してくれる





今ここには私を気に留める人なんか誰一人いなくて
擦りむいた膝がより痛く感じた