私は一人、碧維君の背中を見送った
筆箱を無理矢理貸したのはきっかけが欲しかったから
もう一度碧維君に会うきっかけが
私はスマートフォンを取り出し、中井さんの番号を出したけど電話をかけずにそのまま鞄にしまった
立ち上がり、お店を出ると一度周りを見渡し、みんなが向かっている方向に歩き出した
一人じゃ何もできない子
そんなふうに思われたくない
みんなと同じように
碧維君と同じように
当たり前にやっていることを
当たり前にやってみたい
ただ一人で家まで帰るだけだけど
そんな簡単なことなんだけど
そんな簡単なことを私は今まで一人でやったことがなかった
ちっぱけなこと過ぎてバカじゃないの?って思われたとしても
私は自分の足で歩いてみたかった
碧維君が毎日歩いているこの道を

