わたしの訊きたいことが伝わったのか、
「振られちゃった」
と、明るく言った。
「えっ?」
「この前鮫島先生にね、ちゃんと告白したの。今まで冗談っぽくしかアピール出来なかったんだけど、やっぱり我慢できなくて」
「うん」
「そしたら、生徒は恋愛対象には見えないって……ありきたりな振り方された」
「ありきたりって……」
「ありきたりだよ。わたし、すごい好きだったのに。
結局、先生としてしか返事してくれないんだもん。
先生と仲良くなれた気がしてたのあたしだけだったんだ。
そう思うと哀しくてさ。
振られたのより、なんかそれが哀しかった」
先生のしたことはきっと当たり前のことで、正しいことなんだと思う。
でも先生にとっての特別になりたかった実咲ちゃんには、残酷な程の正しさだ。
「……嘘。振られたのもやっぱり嫌だ」と、笑った。
哀しみが、実咲ちゃんの周りを覆っていくように見えて、振り払いたいけど、わたしにはやっぱりどうすることもできなくて、
「かっこいい人いたら、紹介してね」
と、強がる実咲ちゃんに、「わかった」と明るく言って背中を押したつもりになるしか出来なかった。



