「わーっ」と、大慌てで立ち上がる。


「手にかかった」


わたしは、ハンカチを取り出して手渡した。


「使っていいの?」


「嫌じゃ……なければ」


「ありがと」


手を拭いて、ハンカチをぎゅっと握りしめると気を取り直すように、炭酸を飲みこんだ。


今度はゲホゲホとむせるから、やっぱり笑ってしまう。


「あ……あのね」


「ん?」


「俺、本当はもっとクールだから」


「はぁ」


「そう。こんな感じじゃないからいつも」


どうなんだろう?


なんの言い訳なんだろう?


考えて黙る。


「あ。信じてないでしょ?」


首を横に振る。


「本当に?」


「……ちょっと」


「嘘。やばい。俺なんかもう羽麗ちゃんの中で痛い子になってるのか」


と、がっかりするから、おかしかった。